0-8.誰もが小さな偉人

ちーちゃん

殻が割れる瞬間は、そこにあらわれてくるのは、未知なる自分なんだね。
未知との遭遇の瞬間。

てんちゃん

あれはね、白身と黄身の解放作業なのだ。

ミケランジェロって芸術家いるでしょう?
歴史的に有名な天使の像とかを掘る芸術家の一人。

ミケランジェロは、『大理石の中には天使が見えていて、その天使を自由にさせてあげるまで彫る』という意味の言葉を残しているんだって聞いたことがあるよ。

大理石を見て、その奥に天使を観ているんだね。
大理石を掘っていって天使像を造るのではなくて、埋まっている天使を解放する、みたいな感覚なんじゃないかな。

ちーちゃん

すごーい!天使像の救世主だ~。
偉大な芸術家ってすぎすぎる!

てんちゃん

ちーちゃんも同じだよ。
卵の殻の中から白身と黄身を解放したら、そこにプリンが生まれましたって。
卵のまあるいフォルムを見て、もはやプリンが観えてたんでしょ?
お菓子作り界のミケランジェロみたい。
卵の命を観るプロ。
卵の命を活かすプロだよね。

ちーちゃん

ひゃあ、なんかうれしい。

今回は、卵だったけれど、これが相手が人だったとしたら
その人の『本当の姿』が解放されちゃうっていうことでしょ。

そうやって、考えると、あちらもこちらも
小さな偉人ばっかりだ。